琉球道中記>やんばる三村編

旅は山原(やんばる)路から始まった

 西暦二〇〇四年(平成十六年)一月三十日、桜の花が目立ち始めた名護の町を、Ryuを始めとする名護黄門の一行は旅立った。
長い長い琉球の旅が遂に始まったのであった。記念すべき第一回目の今回はRyuのほかに、今月名護に引っ越してきた和子、2ヶ月前に名護に引っ越してきたユミ、そしておととしに名護にやってきたうおちゃん、生粋の名護んちゅであるさなえの、全員名護在住の仲間達による旅となった。雲の隙間から時折のぞく朝の太陽に期待しながら一行は北へと歩を進めた(車ではあるが)。


さなえの解説が冴える!

芭蕉布会館

七滝入口

七滝にて

なくして名護の北方の村、大宜味村へと到着した。この村は長寿日本一を謳癒しの村である。一行は道の駅おおぎみに立ち寄り、その長寿の秘訣を授かろうと村の産物を見てまわった。さすがに、本土では見ることができないものや、不思議な名前のものが並んでいた。ここで活躍したのが、さなえだった。生粋のウチナーンチュの視点で、沖縄在住暦の短い仲間たちにわかりやすくそれらを説明した。
の駅を後にし、一行は更に北へ向かった。続いて訪れたのは喜如嘉(きじょか)の芭蕉布会館だ。大宜味村は芭蕉布の里としても知られる。かつては沖縄各地で織られていた芭蕉布だが、いまではこの喜如嘉の地に残るのみとなっている。Ryuたちは芭蕉布会館内にある、職人達の芭蕉布を織る過程を見学し、その手間の大きさと、伝統の深さを垣間見るのであった。
 蕉布会館を出たあと、近くにある七滝に向かった。この滝の側には御嶽(うたき)もあり、滝自体もダイナミックさはないが、不思議な自然の空気を感じる滝だった。「ぶながやの里」でもある村だけに、この付近にはぶながやがいるかもしれないとさえも思えた。しばらく滝の側でやんばるの森の空気を胸いっぱいに吸い込みながら過ごした一行は、七滝で身も心も清められた気持ちになった。これから長い旅が無事に進んでいくように心で誓ったRyuであった。
を去ろうとすると、ユミが滝壷の上の木から糸を垂らしてゆっくりと下りてくる小さなイモムシを見つけた。下りていく先には水面しかない。イモムシはクモのように糸を上手に上っていくことができないのだ。「アメンボが来る」。Ryuは予告した。間もなくイモムシは水面に着水し、Ryuの予想通りアメンボがやってきてイモムシはその餌食となった。アメンボが虫を捕らえる瞬間を目撃した驚きと、イモムシがなぜ自爆行為をしたのかという疑問と、小さな世界でも生き残るための食物連鎖が働いていることを改めて感じさせられた瞬間であった。

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