琉球道中記>やんばる三村編
旅は山原(やんばる)路から始まった
奥を後にした一行は、やんばるの東側へと向かった。山道に入り、海はいつの間にか見えなくなり、周囲は樹海のごとく果てしない亜熱帯の森が広がっている。皆はやんばるの森の真ん中を進んでいたのであった。この雄大な景色は海のイメージが強い沖縄の景色とは全く違う世界を思わせる、やんばるの象徴的なものだ。
![]() やんばるの森 |
![]() 根っこが独特なサキシマスオウノキ |
![]() ヒロコーヒーファーム |
![]() 夕暮れのウッパマビーチ |
しかし、そんな景色の中を進んでいるにもかかわらず、異常に会話が少ない。Ryu以外から会話が始まらないのだ。実はやんばる茶屋での満腹感、癒し犬によるリラックス感そして車の中のポカポカ感の条件が整い、3人とも猛烈な眠気に襲われていたのだ。このままでは全員が眠ってしまい、名護黄門の旅も終わってしまうことになるので、途中の普久川ダム駐車場で下車し、一行は眠気を覚ました。再び元気になった四人はそのまま東へと向かった。途中、タナガーグムイにも立ち寄ようとしたが、一行の服装からしてやめたほうが良さそうだったので今回の旅では諦めた。
やがて森が開け、安波の集落にたどり着いた。ここも山間のとても静かな集落だ。本土の里の雰囲気とも共通するものが感じられる。この安波には、県の天然記念物にもなっているサキシマスオウノキがあるということで、そこを訪れた。この木は写真のように根っこが板状になっている、とてもユニークな南国の木だ。その横にはアコウの木がロープのような根っこを伸ばしている。亜熱帯の木々は生命力が形になって現れているものが多く、この木も一行に生きる力を示しているかのようだった。
安波を後にし、いよいよ今回最後の目的地、東村に入った。東村はパイン、ツツジそしてマングローブの森などを生かしたエコツーリズムなどで知られる。時計はすでに十五時を回っていたので、一行は茶屋で休憩をとることにした。ちょうどヒロコーヒーファームにたどり着いたので、三時茶はここでとった。ここは裏にコーヒー畑があり、ここで収穫されたコーヒーを飲むことができるのだ。また、コーヒー木のオーナーになることもできる。手作り感溢れる建物や家具類に感心しながら、一行はやんばるで生まれたコーヒーを味わいながら、のんびりと過ごした。コーヒーは1杯分の料金で数杯嗜むことができる。やんばる路を旅する際はまた立ち寄りたい茶屋であった。このコーヒーファームには、奥で出会った子犬にそっくりの犬もいて一行は一瞬目を疑った。今回の旅は人との出会いよりもむしろ犬との出会いが印象に残る旅だった。それほど道中に人が少なかった。
コーヒーファームを後にし、一行が向かったのは天然記念物にも指定されている慶佐次のマングローブ林だった。ここはカヌーを使ってマングローブ観察ができる場所でもあり、Ryuもかつてやんばる自然熟やホールアース自然学校のスタッフと共に案内をしていた場所でもある。すでに日は西に傾き、空はオレンジ色になりつつあったが、潮も引いていてマングローブ観察をするには好条件だったので、皆で木道を歩いてマングローブを間近に観察した。今回初めて慶佐次に来た仲間たちには、生き物の多い春〜秋にまたここを訪れて欲しいと思うRyuであった。
最後は東村のウッパマビーチに行き、広く静かな海を見ながら今回の旅を振り返った。しかしユミはこの浜によく落ちている模様のついた石に興味を示し、振り返るどころではなかった。何はともあれ、今回の旅で短い時間ではあったが、再発見できたものも多く、同時に新発見もあり、新鮮な充実した1日だった。今後は更に地域の人々と交流できるような名護黄門の旅にしていきたいと心を燃やしたRyuなのであった。
頁 | ||||||
1 | 2 | 3 | 4 |